天性の絵心があった牧野さんは、文才もあって、著書もたくさんあります。昭和18年に書かれた「植物記」の中に春の七草について書かれた一文があります。

それは「春の七種を書けと言う、ハイかしこまりましたとは請合うたものの時間さえあれば如何様にも書けなくはないが、云々」と言うユニークな書き出しで始まるものですが、セリ、ナズナ、オギョウ、ハコベラ、ホトケノザ、スズナ、スズシロについて、学名の語源から植生、草花のかたち、さらに歴史、文化、食し方についてまで深く詳しく解説しています。

少しピックアップしてみると、ゴギョウは御行と書き、正しくはオギョウであること、ハコベラは焼いて灰にし、塩を交えると歯磨き粉になること、ナズナは果実の格好が三味線のバチに似ているからペンペン草と呼ばれ、ホトケノザは煮てもうまくないものの代表だとか、牧野さんの独自の視点で書かれた解説は面白く、目からウロコがパラパラと何枚も落ちること間違いなしです。