日本の植物学の父たる牧野さん、自分は「草木の精」であると言い、ある時は「植物の愛人」だといい、「植物と心中する男」とまで言っています。

だから、「他人が雑草雑草とけなすけれど、雑草だって毅然たる植物である以上、種々なる趣をうちに備えていて、自然の妙工に感嘆の声をあげたくなるはずだと、いま少し、世の中の人に植物に関心を持って注意を向けてほしい」と説いています。

また、世の中に広く読まれているような詩歌や文章の中に「名無し草」とか「名も知れぬ美わしき花」とかいうけれど、これは不見識千万で我が国には、名なし草などという植物は1本もなく、どんな繊細な草でも、どんな巨木な樹木でも、皆、科学的名称を持っていると、「続植物記 花物語」に書かれています。牧野さんは86歳の時に昭和天皇に招かれ、植物学をお教えしています。昭和天皇はこの言葉を引用し、のちに「雑草という草はない」とおっしゃられています。牧野さんの病状が悪化した際、昭和天皇はお見舞いにアイスクリームを届けています。