東京都

昭和3年2月23日、55歳で妻の寿衛さんが亡くなった。

寿衛さんは彦根藩主の井伊家に仕える家臣・小沢一政の娘として生まれた。父の小沢一政は陸軍に勤務し、飯田町通りを占める裕福な家だった。寿衛さんが幼い頃は、踊りを習ったり、唄のお稽古をしたり、非常に派手な生活をしていた。

父が亡くなると、家を売り、財産をなくしたので母が子供を引き連れて、生活のため飯田町で小さな菓子屋を営んでいたのだった。

前の年に、札幌でマキシモヴィッチ生誕百年祭に出席した帰り道に立ち寄った仙台で、新種のササを発見していた。寿衛さんへの感謝をこめて、その新種に「スエコザサ」と和名をつけ、「ササ・スエコヤナ」と学名をつけて発表した。

寿衛さんのお墓には、まきのさんの句が刻んである。
家守りし妻の恵みやわが学び
世の中のあらん限りやスエコ笹