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まきのさんは自叙伝に、「私は従来学者に称号などは全く必要がない、学者には学問だけが必要なのであって、裸一貫で、名も一般に通じ、仕事も認められれば立派な学者である、学位の有無などでは問題ではない」と書くほど、学位に興味がなかった。

「むしろ学位など無くて、学位のある人と同じ仕事をしながら、これと対抗して相撲をとるところにこそ愉快はあるのだ」と考えていた。

30年間、理学博士にするから論文を提出しろと大学にいわれても断ってきた。しかし周囲の後輩が学位をもっているのに、まきのさんに学位がないのは都合が悪いので論文を出してくれと強く勧められ、仕方なく学位論文を提出した。

学位論文は、『植物学雑誌』に掲載してきた英文の論文をまとめた千ページほどを本論文として、『大日本植物誌』などを参考資料として提出し、理学博士の学位を得た。

「学位を押し付けられたりして、すっかり平凡になってしまったことを残念に思っている。」と自叙伝には書かれている。